広大な400ヘクタールの芝管理を一手に引き受けるエキスパート
十勝千年の森の代名詞とも言える「アースガーデン」。日高山脈へと続く緩やかな起伏には、美しい芝生が広がり、自然と一体になった気分が味わえます。世界的にも評価された芝の造成に構想当初から関わり、今も管理を担っているのが、その道の第一人者である大原洋一氏です。業界でもほとんど例がない農薬不使用の美しい芝を実現させ、来園者を魅了し続けています。7、8年間かけて芝を選定 十勝千年の森は、その地の本来の植生を生かすことをコンセプトのひとつにしています。大原氏は「造成するときも清水町に合う芝の種類、肥料を選んだ」と振り返ります。
アースガーデンはもともと牧草地でした。採用する芝は実際に生育状況を確かめ、7、8年かけて選定しました。色は10種類植えた中から千年の森に合う薄めの緑を選び、オリジナルで配合した肥料を用いて、美しさを保っています。
撮影:野呂希一来場客100人の“足”を借りて 芝の丈は27ミリと決まっています。これは来場したお客さま100人に実際に素足で歩いてもらい、最も気持ちの良い高さを調べた結果導いたものです。今でも週1回のペースで刈りながら維持しています。
大原氏は大学や自身が立ち上げた研究所で芝に関わり続けてきました。十勝千年の森構想に参加したのは、旧知の仲だった創設者の林光繁(十勝毎日新聞社顧問)から直々に請われたことがきっかけでした。
2人は帯広市が企画した1974年の海外視察チームで同じメンバーになって知り合いました。そのとき、ヨーロッパを超える緑の町づくりをしようと誓い合った仲だったのです。以来2人3脚で芝文化の普及を図ります。今となっては学会では十勝が芝の先進地域として名を馳せているそうです。
究極の管理は次の世代へ しかし、大原氏は高齢のため、十勝千年の森の芝管理から退くことになりました。その後を引き継いだのが合同会社「Shibaff(シバッフ)」(札幌市)の敦賀和哉CEOです。
敦賀氏は、ゴルフ場の管理責任者「グリーンキーパー」で組織する「北海道グリーン研究会」の会長を務めています。大原氏も「自信を持って薦められる人材」と太鼓判を押しています。
今は大原氏とともに十勝千年の森を管理し、造成のコンセプトを学んでいます。敦賀氏は「これだけの面積を無農薬で管理する場所はない。挑戦ではあるが、大原先生の芝をしっかり引き継いでいく」と意気込んでいます。