北の庭園文化を創造する
北海道ガーデンは、場の特性を活かし、営みと一体となり、時とともに成熟してゆく庭、北の大地にふさわしいスケールの大きな風景を目指しております。北海道らしいガーデンの在り様とは何か。十勝千年の森では、「北の庭園文化」を創造すべく、取り組みを進めていきます。
1981年に設立し、英国内外に1700人の会員を持つ権威ある団体SGD(英国ガーデンデザイナーズ協会)が、毎年、卓越したデザインの庭園とガーデンデザイナーに授賞。その大賞、国際賞に「アースガーデン」、「メドウガーデン」、そしてダン・ピアソンスタジオが選ばれました。審査員からは「出品中(84組)、もっとも美しい庭」「21世紀最良のガーデンデザイン例」との高い評価を受けました。
芝生文化の推進や普及、芝生を介する国際交流などに顕著な功績のあった人または団体に、「日本芝草学会」が授ける賞。受賞対象は「アースガーデン」で、北海道初の受賞。
公益社団法人土木学会景観デザイン委員会が主催する顕彰制度。自然の営力を生かす手法により、周辺の自然環境との一体化を図った施設の創設、運営が評価され、受賞。
アイヌの伝承に、ホネオップ川のいわれとなった鹿合戦の物語があります。十勝と日高の鹿が長い戦いを繰り広げ、両軍とも疲れ果てたところにカムイ(神)が現れて仲直りさせたそうです。鹿たちはその後、カムイの使者となって十勝と日高を行き来するようになりました。円陣を組んだ石は十勝と日高の鹿、中の石はカムイです。
どうぞ覗いてみてください。 窓に打ち付けられた板の隙間に顔を近づけないと、この作品を見ることができないようになっています。
千年の丘を望む場所にぽつんとひとつ、石碑が立っています。その先から始まる道は丘の上へと続いていて、なにかの入口への案内板のようでもあります。
アートディレクション:
P3 art and environment
代表 芹沢 高志
十勝千年の森には、森そのものが持つ潜在力を最大限に引き出すと同時に、わたしたち人間にとっても居心地の良い魅力的な森を形成していこうとする意思がみなぎっています。開拓して征服するのではなく、共生のための開発です。自然界における人間の在り方を考える上で、極めて重要な姿勢であると言えるでしょう。
現代人はとかく時間に追われて日々を過ごしていますが、十勝千年の森にはまた別の、いくつもの時間が流れています。人の都合ではない大自然の森の時間、先住の民や入植して土地を耕した人びとの記憶の時間、さらに空を見上げれば、宇宙が刻む悠久の時があります。
オーストラリアの先住民、アボリジニにはソングラインという歌による地図があります。狩猟採集民として移動生活に必要な水場、狩場、聖地などの位置情報が織り込まれた歌です。十勝千年の森のアートラインには、それぞれの作品を入口として、この土地の多層的な時空風景を読み解くための方向性を指し示す意味が込められています。
この土地を訪れ、たまたまその作品に出会った観客が、この森固有の時間と空間はひとつのものでありながらも、人間との関わりのなかでさまざまな様相に変化することに思いを馳せ、ただひとときの「いま、ここ」と永遠のなかの無数の「いま、ここ」に、思考と感覚の扉を開かせる「ゲート」となることを願っています。