カムイのサークル キサラのかけら2002
Artist/板東優 ( ばんどう まさる)/1952年 帯広生まれ
アイヌの伝承に、ホネオップ川のいわれとなった鹿合戦の物語があります。十勝と日高の鹿が長い戦いを繰り広げ、両軍とも疲れ果てたところにカムイ(神)が現れて仲直りさせたそうです。鹿たちはその後、カムイの使者となって十勝と日高を行き来するようになりました。円陣を組んだ石は十勝と日高の鹿、中の石はカムイです。
時折、形を成す中小210の断片2003
Artist/インゴ・ギュンター/1957年ドイツ生まれ
どうぞ覗いてみてください。 窓に打ち付けられた板の隙間に顔を近づけないと、この作品を見ることができないようになっています。
北海道のためのスカイTV2005
Artist/オノ・ヨーコ/1933年 東京生まれ
この土地に残されていた開拓農家の廃屋に、当時の面影を取り戻すための最小限の修復を施しました。作家蔵4作品と空に関する自作品の朗読ビデオを上映しています。
※観覧にはご予約が必要です。(観覧料別途 1,000円)
七つのダイヤモンド2008
Artist/ディディエ・クールボ/1967年 フランス生まれ
千年の丘を望む場所にぽつんとひとつ、石碑が立っています。その先から始まる道は丘の上へと続いていて、なにかの入口への案内板のようでもあります。
森に内蔵されるアート
アートディレクション:
P3 art and environment
代表 芹沢 高志
十勝千年の森には、森そのものが持つ潜在力を最大限に引き出すと同時に、わたしたち人間にとっても居心地の良い魅力的な森を形成していこうとする意思がみなぎっています。開拓して征服するのではなく、共生のための開発です。自然界における人間の在り方を考える上で、極めて重要な姿勢であると言えるでしょう。
現代人はとかく時間に追われて日々を過ごしていますが、十勝千年の森にはまた別の、いくつもの時間が流れています。人の都合ではない大自然の森の時間、先住の民や入植して土地を耕した人びとの記憶の時間、さらに空を見上げれば、宇宙が刻む悠久の時があります。
オーストラリアの先住民、アボリジニにはソングラインという歌による地図があります。狩猟採集民として移動生活に必要な水場、狩場、聖地などの位置情報が織り込まれた歌です。十勝千年の森のアートラインには、それぞれの作品を入口として、この土地の多層的な時空風景を読み解くための方向性を指し示す意味が込められています。
この土地を訪れ、たまたまその作品に出会った観客が、この森固有の時間と空間はひとつのものでありながらも、人間との関わりのなかでさまざまな様相に変化することに思いを馳せ、ただひとときの「いま、ここ」と永遠のなかの無数の「いま、ここ」に、思考と感覚の扉を開かせる「ゲート」となることを願っています。