ガーデナーが季節を生け込む、植物のディスプレイ
ガラスの瓶を使った一輪挿し、大ぶりな枝やススキを使ったダイナミックな造作-。ガーデンカフェには、庭と森の植物を使った大小さまざまの装飾があります。「この時期だと、木の剪定を兼ねてモミジを枝ごと入れるなど、季節を生け込むことを意識しています。お客様が来園されるたび、違う展示を楽しんでいただけるよう毎日手入れし、少しずつ変化させています」と新谷みどりヘッドガーデナーは話します。
ダリアの色の豊かさに目を奪われる この時期は、キッチンガーデンで収穫する野菜などを使うため、装飾もいっそう華やかになります。中でも目を引くのが、たくさんの花弁を持つ大きなダリア。ダリアは品種が多く、咲き方や大きさもそれぞれ。1輪の中に深紅から赤へ色のグラデーションを持つ種もあり、色彩の豊かさに驚かされます。
装飾には、きれいで整った花ばかりを使うわけではありません。芽出し、開花、結実といった植物のサイクルに沿い、終わりかけている花や種になっているものまで、ガーデンそのものを人の手で取り入れています。
現代的なガーデンと、伝統的な日本文化の融合も
秋風で道のくぼみや壁際に葉がたまる様をイメージした「吹き寄せ」というものがあります。懐石料理の盛り付けや着物の柄にも使われますが、ガーデンのディスプレイにも取り入れています。現代的な庭と、日本ならではの伝統的な文化の両方を表現できます。
また、海外から来るガーデナーの研修生のために、ススキと団子を用意して「お月見」をすることも。「庭そのものではなく、庭で過ごす時間のアイデアも感じ取ってもらいたい」(新谷ヘッドガーデナー)。
グラスの多様さを比較展示で感じて 行事前や季節の変わり目には、展示内容をがらっと大きく変えます。例年10月初旬から、パニカムやススキなどグラス(草)の多様さを比較する「グラスラボラトリー」を開催。それぞれに名前のラベルを付けて展示し、微妙な色の違いや、葉の形を観察することができます。また、ガーデン装飾のクライマックスとして、メドウガーデンで刈った草花を全て使って、ダイナミックな装飾も予定しています。閉園までのわずかな期間、美しいディスプレイをお楽しみください。