散策しながら出会える 北の動物たち
日高山脈の麓にある十勝千年の森には、数多くの生き物が一年を通して訪れます。中には、北海道でしか見ることができないというエゾモモンガやエゾリス、エゾシカなども。今回は毎日、お客様と一緒に森の中を駆け回るセグウェイガイドの矢萩秀則に、この森に来る動物や鳥を紹介してもらいました。
◎これからの季節にきっと出会える 実りの秋によく姿を現すのがエゾリス(=写真)です。冬眠しない特徴を持つため、雪が降る前に餌を集めて隠しておこうと、活動が活発になるのです。料金所があるマンサードホール周辺にはミズナラやクルミの木があり、その近くでよく見ることができます。警戒心が強く、人の気配を察知すると、すぐに逃げてしまうので「餌を夢中で食べている瞬間がシャッターチャンス」と話します。
ただ、十勝に住む人にとって、市街地の緑のある場所にもいるエゾリスは、見慣れているかも知れません。エントランスフォレストやフォレストガーデンでは、ごくまれにシマリスがいることもあります。ぜひ探してみてください。
◎鹿のイメージを覆す 巨体のエゾシカ 四季を通して、その姿をほとんど現さず、ふきや木をかじった跡や、足跡を残していくのが雄のエゾシカ(=写真)。体重が150kgを超えることもあり、出会うと後ずさりしてしまうほどの大きさです。繁殖期には、「キューン」と鳴き、雌を呼びます。その音を聞きつけた他の雄たちが集まってきて、角のぶつけ合いが始まります。勝った雄が雌を手に入れられるのです。
現在、フォレストガーデンは、ヒグマが通った形跡が見られたため、来園者は立ち入りできませんが、矢萩によると、雄が来た跡や、5、6頭の雌の群れが確認されているそうです。
◎見つけたらラッキー レアな動物 春先に草むらで見られるのがエゾユキウサギ(=写真)。指の間には雪原でも沈まないように、水かきの様なものが付いています。夏毛は灰褐色ですが、冬には、雪に紛れるほど真っ白に毛が生え変わります。
大きな目がチャームポイントのエゾモモンガ(=メイン写真)もやってきます。木の上で生活をしており、夜行性ですが、ごくまれに朝と夕暮れに見られることがあるそう。一年中、出会えるチャンスはあるので、目を凝らして探したいレアな動物です。
◎耳を澄ませば 鳥たちのおしゃべり この森を五感で楽しむのに欠かせないのが鳥の鳴き声。アースガーデンに立つと、四方八方から競うように美声が聴こえてきます。「デーデーポッポー」と鳴くキジバトに、「オーアオー」と叫んでいるような鳴き方をするアオバド。センダイムシクイは「スイッチョスイッチョギー(焼酎一杯ぐぃ~?)」と特徴的な鳴き方をします。さらに、白黒の身体に鮮やかな赤色の頭が特徴のキツツキ科のアカゲラ(=写真)が、くちばしで木をたたくドラミングの音も。鳥たちの恋の季節と言われる春が、最もにぎやかな時期です。
矢萩はセグウェイガイドとして、お客様の安全を第一に考えながらも、「お客様が見つける前に動物に気づき、静かにシャッターを構えてもらえるよう、常にアンテナを張っている」と話します。野生の動物に会える頻度は高いとは言えませんが、ファームガーデンには、羊とヤギが毎日放牧されています。人懐っこいヤギは、きっとカメラ目線を向けてくれるはず。こちらもお見逃しなく。